Echovolt Records、Red Light RecordsそしてDark Entries Labelなど、近年 ギリシャのエレクトロミュージックの再発見、リリースが活況づいている。
このLena PlatonosのGallopもその一つ。
1985年にリリースされたエレポップアルバムで、近年アメリカのDark Entries Labelから再発された。
Lena Platonosはクノッソス宮殿のあるギリシャのクレタ島イラクリオン(Heraklion)で1951年に生まれ、アテネで育った。父親はギリシャ国立オペラ座の第一ピアノストで、彼女自身も幼少の頃からピアノを学び始める。
18歳でプロになった後はオーストリアやドイツに移り、ヨーロッパのポップミュージックやジャズなどに触れ、70年代末に再びギリシャへ戻った。
当時のドイツはクラウトロック、テクノ、エクスペリメンタルミュージックの興隆期。
その頃に吸収したであろう要素がこのアルバムにも色濃く反映されているが、それ以上に彼女の独特の感性、世界観がこのアルバムの印象を決定づけていると言って良い。
TR808やアナログシンセのプログラミング、ポエトリーリーディングのような自身のヴォーカルというシンプルな組み立てながら、何にも似ていない摩訶不思議な音像。
ギリシャ語の語感にも異化力があるように思う。
BPM速めの前半も良いが、タイトルトラックをはじめとしたビートレスの曲、BPM遅めの曲で占められる後半も素晴らしい。
古代ギリシャにインスパイアされたChanel Resort 2018 Collectionのショーでも、このアルバムの曲が使用された。