Melbourne出身のバンド、Hiatus Kaiyote。
Hiatus KaiyoteはPrinceをはじめとしたビッグネームに愛され、Grammy Awardsにもノミネートされる等Australiaを代表するバンドになったが、メンバー各々がマイペースでソロ活動も行う才能集団でもある。
ドラムを担当するPerrin Mossは、これまでClever Austin名義で幾つかのcasette tape作品を製作してきたが、初となるフルアルバムを2019年3月にリリースした。
あるものと別のものの類似性をベースに思考〜応用するプロセスをanalogy、視覚や聴覚等五感を通して受けとったものから別のものを連想する感覚的なプロセスをpareidoliaというが、この1stには様々な要素が織り込まれ、彼の音楽的バックグラウンドや指向性を聴き手に思い起こせ(pareidolia)類推させる(analogy)ような、双方の面白さに溢れている。
ビートメイカーだけでなくマルチプレイヤーでもある彼のプレイスタイルは、Arthur VerocaiやStevie Wonderのようで、quantizeされていないズレや「間」のあるリズムはQuestloveのようでもあり、ゲストヴォーカルを迎えた曲ではD’Angeloのようなコーラスワークが随所に垣間見られる。
全体的にバランスのとれた仕上がりで、様々な要素を併せ持ちながら自然に同化した音像として響くのは、彼がプロデューサーとしてのキャリアも持ち合わせているからだろう。
このアルバムはLondonのTouching Bassレーベルが手がけたが、AustraliaとNew Zealand限定帯付きアナログを地元MelbourneのWondercore Islandレーベルとレコード屋のPlug Seven Recordsがダブルネームでリリースしている。これを求めに店まで足を運んだ。世界的なアナログブームの中で日本式の帯付は中古市場を中心に人気だが、店頭に陳列されたこの新譜のspecial editionを見ながら、今や「obi strip」は世界共通の様式として取り入れられつつあると実感。
ちなみにPlug Seven Recordsは、Fitzroy地区のSmith StとJohnson Stの交差点の側にあり、Organic Wholefoodsの並びにある。
このあたりは面白い店が多く散策にオススメだ。