天気次第の軍艦島クルーズ

グラバー園の旧三菱第2ドックハウスには三菱関連の展示物が多数あり、モノだけでなく関連映像作品も上映されていた。私が行った時に鑑賞したのは軍艦島の短いドキュメンタリー。

軍艦島は通称で、正式には端島という。

鍋島藩が保有していたが明治時代に入って三菱に譲渡され、本格的な海底炭鉱の操業がスタートした。

ここで採取された石炭は戦争で高まる製鉄需要を支えるため、日清戦争の賠償金で建設された八幡地区の製鉄所等に供給される。

激動の20世紀前半、採掘量は増え、島は埋め立て拡張を重ね、島民人口は増え続け、戦後復興時期には5000人を超え、東京の9倍の人口密度にまで至った。

しかし、エネルギー資源の主流が石油にシフトするなど時代の変化と共に1974年に閉山、そのわずか三ヶ月後には無人島と化した。

2015年に世界遺産登録され、現在は長崎港発着のクルーズ船で一般市民も軍艦島に渡ることが可能だという。

私もクルーズに参加してみようと朝の出発便をネットで予約して長崎港ターミナルへ向かった。

当日の朝は曇り。天候によっては運休、或いは上陸中止の可能性もあるとのことだったが、ここまで来たのだからとチケットを購入し出発を待つ。

なんとか出発したが波が高く、雨も降り出す始末だ。船には修学旅行生が多数乗船しており、船が大きく揺れるたびに女子生徒らの黄色い声が船内に響く。

出発してからどのくらい経ったか、軍艦島を目前としたところで船が止まる。暫くすると発着場の水位が高く上限値を超えているため停泊、上陸できないとのアナウンスが流れる。

薄々感じていたか、あまりの船の揺れに早く港に戻りたい気持ちが強まったからか、乗船客から不平の声は全くなし。

島を周遊して港に戻るアナウンスに続き、建物や島の当時の生活の様子などトークスクリプトの棒読みが続く。

船酔いでトイレに駆け込む学生、グロッキーで横になる学生が何人もいる中、周遊はいいので早く帰港してくれないかと船員に交渉する先生もいた。

確かに大海原の中にポツンと存在する人工的な島の姿は異質そのもので、上陸すれば更に様々感じることがあっただろう。

機会があればまた上陸を試みたいが、あの船の揺れに往復2時間耐える可能性もあるかと思うと、少し気が引けるかな。

タイにDimenhydrinateという超強力な酔い止めの薬があるが、ああいったものを用意すれば大丈夫かもしれないが。

軍艦島(端島)
住所:長崎県長崎市高島町端島
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