中国との関係は古代に遡ると言われる長崎。
鎖国期間も交流が許され、現代に至っては横浜や神戸と並ぶ日本三大中華街を擁するように関係は深い。
その長崎には、清朝時代に清朝と長崎在住華僑がタイアップして建設された孔子廟がある。原爆投下でダメージを受けたが戦後復旧が進み、現代では孔子廟中国歴代博物館として観光客を向かい入れている。孔子廟とは孔子の魂を祀った場所のことで、中国はもとより日本、韓国、台湾、東南アジアにも建設されている。
中でも長崎孔子廟は中国の総本山並の伝統美で博物館も併設されており、中国の歴史ある様々な文物も鑑賞することができる。
雨の日に訪れたこともあって人影はまばら。綺麗に整列した七十二賢人石像の横を通り、奥の博物館へ向かう。
博物館は恐らく常設展と企画展をフロアを分けて展示するようなスタイルだと思う。最上階が孔子関連で、その下のフロアが企画展かと。
やはり清朝時代からの関係ということもあってか、貴重な展示物が多いように見受けられる。
常設展のフロアには、世界、中国、日本の歴史を一つに重ね合わせ見える化したような展示物のようなものもあり、歴史好きな人にはちょっとしたブレインストーミングや気付きの機会になるだろう。
これを企画した人の頭の中を想像しながら鑑賞すると中々楽しめるのではないかと思うが、残念ながら館内は撮影禁止となっている。一通り鑑賞を終え博物館の外に出ると、孔子廟敷地内の人石像群と、隣接する近隣施設の対比が印象的で思わずシャッターを切ってしまった。
最後に、もし孔子の教えに対して理解を深めたいなら、まずその書物を読むべきかもしれない。
論語は現代ではビジネス書に応用される普遍性があり、そうした数々の言葉を日本の皇紀起源の時期に残す動きが中国にあったことには驚きだが、一方で人間は2500年前から然程変わらないと感じさせる親しみやすさも同時に持っている。
この場所にはそうしたリテラシーを会得するような仕掛けは少ないので、自身で予習するのがよいだろう。