トーマス・ブレーク・グラバーのグラバー園へ

いつの時代も戦争や革命などの動乱は、経済的な視点で、ある角度から見れば大きなビジネスチャンスでもある。

経営学者のドラッカーの名言に「変化をマネジメントする最善の方法は、自ら変化をつくりだすこと」という言葉があるが、明治維新というユースケースで考えれば、一国の大革命に武器商人で参入したトーマス・ブレーク・グラバーは間接的ではあるが、ある意味で維新のマネジメントを試みようとしていたのではなかろうか。

当時のグラバーは20代で向こうみずな思い切りの良さもあったと思うが、長州藩、薩摩藩、佐賀藩、そして土佐の坂本龍馬といった若い才能への投資と自らの事業拡大を両立させるビジネスセンスの鋭敏さは、もっと多くが語られても良いかもしれない(結果として各藩からの代金回収が滞り倒産もしたが)。

そうした史実を通し、特にこうした変化の時代には様々な気づきを得られると思うが、今では歴史の1ページとしてグラバー園という形で現代に語り継がれているので、何か感じられるか訪れてみることにした。

グラバー園全体はもともと外国人居住地区を母体とし、そのワンパートとしてグラバー邸がある。

グラバーのネームバリューのもと、一つの史跡として命名した格好だ。

園内にはグラバー邸以外の邸宅もあれば学校もあればフリーメイソンロッジもあり、グラバー自身は明治以降は三菱と関係を持っていたことから、三菱関連の施設もある。

どの施設もしっかりと保全され、当時の雰囲気を感じられるのがいいし、丘の上から長崎湾を臨む眺望も素晴らしい。デートスポットや修学旅行の定番コースしても人気があるのも頷ける。

肝心なグラバー邸は修復工事中で、残念ながら工事状況を外から眺めるに止まった。なお、グラバー園から見下ろす長崎湾には三菱の造船関連施設が数多くあり、日本の開国で重要な位置を担った長崎での三菱の存在感を改めて認識できるだろう。

グラバー園の近辺には土産店も多いが、コロナ禍でシャッターをおろしている店もある。こういう状況下だと修学旅行生がメインの客層になるのだろう。

グラバー園
住所:長崎県長崎市南山手町8-1
URL:http://www.glover-garden.jp
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