2019年9月、一ヶ月限定で開局したRadio Hermes。
坂本龍一はじめ錚々たるメンバーによるインターネットラジオプログラムが一日中オンエアされている。
原宿明治通り奥にあるラジオ局はポップアップイベントスペースを丸ごとHermes化した独特の空間で、11:00-20:00でオープンしており、放送用スタジオだけでなく、コレクションで使用した音楽をコレクションしたレコード棚、2FにはVRを体験できるコーナーもある。
モノからコトへと言われて久しく、特定の時間と特定の場所で提供される一回性の体験というのはよくあるパターンだが、オンデマンド型コンテンツと組み合わせたハイブリッド性、その中でも体験者側の生活に自然と寄り添うラジオという形態は中々ユニークだ。
エントランスの階段を下ると奥にはガラス張りのラジオブースとコンソールが置かれたスタジオがあり、壁を覆うウレタンスポンジ吸音材もHermesのロゴでデザインされている。1Fの右奥はHermesがここ数年コレクションで使用してきた音源のリスニングスペース。ヨーロッパや中国で開催されていたSilk Mixの派生系のような雰囲気で、Silk Mix同様にHermesのscarfのパターンがレコードジャケットになっており、中にはHermesのロゴが刻印されたvinyl版が。
Record standにセットすると、ジャケットの内側に貼り付けられたrfid経由で曲が再生されるというスマートさ。
以前にフランスの友人から聞いたことがあるが、こうしたレコードは非売品で顧客にのみ配布されたこともあったそうだ。
2Fの奥の壁の向こう側にあるのがVR体験コーナー。坂本龍一の傑作アルバムAsyncのアンビエンスをそのまま再現したような本條秀慈郎との共演で、彼らの演奏を目の前で体験するような内容に仕上がっている。
ファンなら必見だと思うが、スタッフに聞いたところでは期間中に内容が変わる予定とのことで、何度か足を運んだほうが良いかもしれない。
表参道駅内から原宿の商店街や明治通り沿いの至る所でRadio Hermesのadvertisementを目にしたが、こだわりやセンスと同様に感じたのは、これを実現する企業としての圧倒的な体力。凄い。