2020年5月25日、新型コロナウイルス感染症対策に伴う緊急事態宣言が解除された。
ほぼ全国で解除済の中、最後まで残っていた首都圏・北海道の5都道府県でもついに解除された格好だ。
4月からの緊急事態宣言の下では、多くの飲食店が営業自粛もしくは営業時間短縮など行政のガイドラインや世論を意識した営業形態を迫られ、厳しい状況が続いてきた。
そんな中でもテイクアウトやデリバリーへのシフトや、各種アプリによる新しいビジネルモデルの開発とサービスインが矢継ぎ早に行われる等、平時には有り得ない決断とスピード感でビジネスモデル変革が進む逞しさのようなものも感じられる。
私の場合も、生活圏の富ヶ谷近辺ではCristiano’s、おそうざいと煎餅もんじゃさとう、イタリアンのiL-CHIANTIがテイクアウト営業、Camelbackでデリバリは営業時間変更とデリバリ、アヒルストアや酒坊主で営業時間変更とテイクアウトのハイブリッド営業等の動きがあり、利用する機会が次第に増えてきている。
こうした動向は高級店でも見られる状況で、友人が青山の割烹懐石「御料理 宮坂」のテイクアウトを予約したというので一緒に足を運ぶことにした。
根津美術館の少し奥まった閑静な住宅街の地下にひっそりと佇む店の扉を潜ると、事前に予約した鯖の棒寿司と特製昆布醤油を用意してくれており、カウンター越しに受け取り帰宅。
竹皮に包まれた棒寿司を開けると更にもう一層、しっとりとしたガーゼのような布の中に寿司が包まれている。
その布を取り除くと、鮮やかな濃緑の分厚い昆布が鯖を覆っている。
昆布の下にはこれもまた分厚い見事なシメ鯖。出張や旅行で京都に行けば、我が家の土産物には必ず棒鮨がリストアップされ、様々なタイプのものを食べてきたが、宮坂のテイクアウトはユニークで、砕いた実山椒が鯖と酢飯の間に散りばめられている。そして酢飯には炒った黄金色の白胡麻が。
控えめながら実山椒の存在感は素晴らしい。何もつけずにそのまま口に運ぶ。
また、一緒に購入した昆布醤油は、とろりとペースト状になった昆布に醤油がブレンドされたもの。寿司や刺身とのマッチングもよし、海苔の佃煮のように白米で食べるもよし、様々な料理のアクセントに使える万能調味料といってもよいだろう。これも大変美味しくいただいた。
世界全体が完全に元に戻ることはなく、新時代の社会インフラや各種サービスの在り方を模索し続けるのは間違いない。第二波、第三波もやってくるだろう。
こうした店のサービス提供はどう変容していくのか、今後の展開も見守っていきたい。