4年前の2016年、表参道から富ヶ谷に移転した居酒屋 甚六。
開店準備の頃か、深夜に帰宅の途につく中、この店の前を通ることがあった。
入り口が少し開いており、中を覗くと半地下に降りるような階段の先に立派なカウンター、全体的に木を作った気持ちの良さそうな空間で、カウンターの中では若旦那が黙々と作業している。
気になって中を覗き込んでいると若旦那が私達に気づき、ショップカードを持って上がってきてくれ、いろいろと話を伺うことができた。
それ以来ずっと通っているが今ではこの界隈でも人気店となり、常連客、近所にある国営放送局にお勤めの方々、アパレル関係者、時にはアーティストの方を見かけることも。女性のお一人様もちらほら。
この店はBGMがソウルやブルースが中心で、カウンターに座れば音楽を楽しむことができるだろう。開店した頃はちょうどその冬に他界したDavid Bowieのラストアルバムが流れていた記憶もある。ご主人も若旦那も音楽好きに違いない。
おすすめメニューは数多くあるが、一押しは春菊とちくわのナムル。フレッシュな春菊の葉とちくわのスライスを胡麻油と塩で軽く和えたシンプルな一皿だが、味付けは塩だけでなく少しガーリックの風味もあるし、塩だけの味付けでもないように感じるし、病みつきになる美味しさだ。
冷やしトマトもアイデアが効いていて、粉チーズやドライハーブがトマトに振りかけられ、酢の効いたドレッシングでいただく。卵の稲荷揚げも外せない一品。天つゆに浸しながら食べるのだが、酒の肴に最高だ。この他に蓮根のはさみ揚げ、ねぎま(焼き鳥ではない)、九州の甘い醤油で食べる鯵のたたき、ペッパーチャーハン、塩焼きそばもおすすめ。
営業時間が長く、2軒目でも立ち寄れる使い勝手のよい店だが、ここ最近は緊急事態宣言でかなり短縮している状況だった。はやく通常営業に戻れることを願うばかりだ。
プライシングもこの近辺ではかなり良心的で、富ヶ谷の穴場といえばここだろう。
住所:東京都渋谷区富ケ谷1-14-9