Inc.とMiles DavisとPrinceを繋ぐもの Inc. / 3 EP(4AD 2011)

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Miles DavisがPrinceを賞賛していたことは有名で、Princeの教会的、黒人的オルガンサウンドがその音楽を特別なものにしていると言う。

Princeはデビュー当時からシンセサイザーを積極的に使って独特の世界観を作り続けたので、印象的なオルガンサウンドを聞くのは「Let’s Go Crazy」のイントロまで待つことになる。

だから、Milesの頭の中にあるPrinceのオルガンサウンドとは、80’s中盤以降のものを言っているのだろう。

実際にParade TourやSign ‘O’ The Timesのステージ、Sign ‘O’ The Timesの「 Ballad of Dorothy Parker」、「If I Was Your Girlfriend」、「Adore」をはじめ、80’s後半は印象的なオルガン(やオルガンっぽいキーボード)の音色が多く聴かれる時期だった。

音の質感は様々で、Parade TourのステージでのオルガンソロはJames Brownのような疾走感があるが、Sign ‘O’ The Times「If I Was Your Girlfriend」のねじれたキーボードの音像はMilesの「Rated X」のような重層感を感じさせる。

斯様に一律「あのサウンド」と括れる解りやすい志向性があるわけではないが、通底するものが教会的、黒人的な何かを想像させるということなのだろう。

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そして時間が経ちInc.の「3 EP」を初めて聴いた時「あのサウンド」が頭に中で蘇り、三者が繋がる感覚を覚えた。

まさにConstellations Of Musicという感覚だ。

Inc.が「3 EP」をリリースした際は多方面からPrinceのパクリと批判されていたので、もうこのような作風のものは制作しないかもしれない。

実際に1st Albumは全く違った作りになっていたし。

しかしながら「3 EP」の「あのサウンド」はこのEPの核で、Princeのこの側面にフォーカスし音像化を試みるフォロアーは実はいそうでいない中、非常に面白い作品ではないだろうか。

Prince愛聴のCocteau Twinsが看板アーティストだった4ADレーベルからデビューしたことも興味深い。

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