銀座のメゾンエルメスで「エルメスの手しごと」展 “メゾンへようこそ”を開催している。
そこで上映されているHermesのドキュメンタリー映画(予約制、先着順)を観に行ってきた。
映画のタイトルはHearts and Crafts、2011年に制作された47分のドキュメンタリー。
Frédéric LaffontとIsabelle Dupuy-Chavanatが監督を務めたこの映画は、80’s以降のGodardの影響を感じさせるオープニングで幕を開ける。
クラシカルなピアノのもと、風景、テキスト、人物のカットが次々と切り替わっていく。
その後、革製品、貴金属製品、スカーフ、クリスタル・・・様々なHermesのハンドメイド製品を作り出す職人にフォーカスし続ける。
皮に糸を通す、皮を切る、針に糸を通す、皮を切るカッターを研ぐ、ハンマーで叩く、皮を伸ばす、シルクプリントのパターンを描く、シルクに色をつける、シルクを水で洗う、スチームで乾かす、プリント用の塗料を調合する、木槌で叩く、金属を削る、金属を焼き付ける、金属を液体につける、金属を叩き伸ばす、金属を研磨する、ガラスを熱する、鋳型を作る・・・様々な職人の日常の仕事ぶりが丁寧に記録されており興味深い。
また、職人達へのインタビューも印象的。
職人の言っていることが哲学的で面白い。
職人は寡黙そうな先入観を持っていたが、フランス人だからか、おしゃべりが好きそうな人が多かった(チュニジアやアジアからの移民、ポルトガルなどフランス以外の国をバックグラウンドに持つ職人も映し出されていた)。
映画の最後、完成したサドルをセットした毛並みのよい馬に乗り、フランスの美しい田舎道ゆっくり進むシーンが好きだ。
自然と芸術(Art、Artificial、Artisan・・・)が見事に一体化していて、息を飲むほどだった。
タイトルはHearts and Craftsだが、Heartsというよりも職人のSpiritsを感じさせる映画だと思う。