イギリスのHeavenlyレーベルから1992年に男女二人組のユニットとしてデビューしたEspiritu。
デビューシングルの「Francisca」のジャケットに写る様子は、ラジオと鞄だけ持ってロンドンに渡って来た南米移民といった雰囲気だ。
ヴォーカルのVanessa Quinonesはペルー人とフランス人の両親を持つフランス人で、カナリア諸島などスペインで多くの時を過ごしたコスモポリタン。
彼女のバイオから逆算すると、デビュー当時はまだ十代だったのではないか。
Acid Jazz全盛の中リリースされた2ndシングル「Conquistador」はグルービーなオルガンとパーカッションブレイクが印象的で、当時の雰囲気を映し出している。
Andy WeatherallのSabres Of Paradiseがリミックスを担当したことで、注目度も一気に上がった。
その後4thシングルまでリリースした後、出る出ると言われながら音沙汰の無かったところで登場したのが、この1st Album 「Always…」。
いつしか男女二人組からVanessa Quinonesのソロプロジェクト化し、ジャケット写真もこれまでの小娘的な雰囲気から美人シンガーの典型といった感じの小洒落たトーンに変化した。
4thシングルまでの楽曲も一曲を除き全て収録されているが、Album用にリミックスされており、リズムが強調されたクラブ寄りのサウンドは耳あたりのよいホームリスニング仕様に。
特に2曲目の「Manifesto」は曲自体が変わったといって差し支えないレベルだろう。
そして、このアルバムで初めて披露された楽曲群は、路線変更を感じさせるメロディアスなものが多数を占める。
更に、リリースはHeavenlyレーベルではなく日本の東芝EMIからのみという変則的な方式が採られた。
こうした変化を考えると、アルバムリリースまでの間、メンバー同士、ユニットとレコード会社の間で何かあったのかもしれないが、Nellee HooperやThe Style CouncilのMick Talbotなどビッグネームも名を連ねる中身の出来は非常に良く、20年以上経過した今でも聴き応えがある。
この後Vanessa Quinonesは路線を変えたり、元Smashing PumpkinsのJames Ihaらとユニットを組むなどキャリアを積んでいるが、この1stがベストではないか。
Burt Bacharachのカバー「Always Something There To Remind Me」を収録。