New level of beauty 〜 Seu Jorge / The Life Aquatic Studio Sessions (Hollywood Records 2005)

初期のBowieの曲にはテンションコードが効果的に使われ、独特の美しさを感じさせる曲が多い。

アルバムで言えばHunky DoryやZiggy Stardustあたり。

それらの曲から骨格だけを抜き出し、ポルトガル語による新しいインスタンスとして生み出されたのが本作。
IMG_5721

全曲ギター弾き語りのスタイルで、Bowieの楽曲の美しさとSeu Jorgeの雰囲気あるギターワークとヴォーカルが素晴らしい。

Bowie曰く「New level of beauty which he has imbued them with」。

これまでGlamやGoth色の強いカバーを幾つか耳にしたことがあるが、こうしたドライな質感とメランコリーが静かに同居するアルバムは極めて稀だろう。

もともとはアメリカのカルトムーヴィー「The Life Aquatic with Steve Zissou」のために録音されたものだが、Seu Jorge自身はそれまでLet’s Dance以外Bowieのことは知らなかったらしい。

Wes Anderson監督からBowieの曲を14曲録音するよう指示があったので製作したというのだから驚きだ。

その経緯から精緻なアレンジは無理だっただろうし、弾き語りで録音するのが自然だったのだろう。

幾つかの曲は、ギターを嗜む船員PeleとしてSeu Jorge自ら演奏する様子も映画に収録された。

特にティレニア海を漂う船の船尾で一人歌うRock n Roll Suecideの映像はシュールだが、オリジナルの歌詞の世界観をある意味体現していると言えるかもしれない。

前述したアルバム以外からもDiamond Dogs収録のRebel Rebelが収録されているが、意外な程ボッサスタイルのギターピッキングがはまっている。

Return Top