Bob Dylanとノーベル文学賞 – Marie Laforêt / D’être à Vous (Disques Festival 1969)

Bob Dylanとノーベル文学賞 – Marie Laforêt / D’être à Vous (Disques Festival 1969)

Bob Dylanがノーベル文学賞をとったが、まだ受賞の意思を明らかにしていない。

ノーベル賞側の連絡を無視し続けているという。

Bob Dylanらしくて良いと思うが、そもそもノーベル賞とは、ノーベル文学賞とは何なのだろうか。

ノーベル賞を最大級の誇りと思う人がいる一方で、世界的権威や利権に使われないよう距離を置くと考える人がいてもおかしくないだろう。

音楽家なのにノーベル文学賞受賞というのは、音楽性に対する敬意が払われているのか疑問に思っても、おかしいことではない。

また、どんな賞でも「あげる」と言われて「いらない」ということが敬意を欠く行動だと思う人がいれば、単なる意思表明に過ぎないという人もいうもいるだろう。

いろんな考え方があると思うが、Bob Dylanの沈黙はノーベル賞に盲信的に価値を置く世論全体への投げかけのように感じる。

「ノーベル賞は誰にとってどんな価値があるものか、あなたはどう思うか」と。

いらないのなら、さらっと「いらない」と言えばいいだけだし。

そんなことは妄想で、12月には何事もなかったかのように、ストックホルムにいるかもしれない。

答えは風の中にあるのだろう。

それはそうと、個人的にはメロディーメーカーとしてのBob Dylanが素晴らしいと思う。

Byrdsがカバーした’Mr. Tambourine Man’、多くのミュージシャンにカバーされている’Don’t Think Twice’、歌詞抜きでKeith Jarrettにピアノでカバーされた’My Back Pages’など名作が多い。

その中でも、アルバム’Blonde On Blonde’に収録された’I Want You’を、映画「太陽がいっぱい」でAlain Delonの相手役を演じたフランスの女優・歌手Marie Laforêtが’D’être à Vous’のタイトルで1969年に残したカバーも素敵だ。

これを聴いている時、Bob Dylanが文学賞ホルダーでなくても大きな問題ではないと感じてしまう。

Bob Dylanはライターではなく、シンガーソングライターなのだと。

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