バクー旧市街は壁で囲まれた城壁都市で、現在は観光スポットになっている。
壁で街を囲む様式は世界中で見られ、古来から共同体が富や保安を維持していくための装置だったのだろう。
バクーの城壁都市は世界遺産で観光客の人気スポットであると同時に、人が普通に暮らす住宅街でもある。
また、レストランやキャラバンサライ(隊商宿)を活かしたホテルも点在しているので、旅行者でも寝食共に世界遺産の中で楽しむことができる。
そんな旧市街で人気のあるレストランがSehrli Tandir。
なぜか店の前で、猫が客の入店をチェックをしている。
イルハム・アリエフ大統領がこの店にロシアのプーチン大統領を招待したことがあるらしく(写真が飾られていた)、アゼルバイジャン料理の名店として名が通っているのだろう。
入口正面にTandirと呼ばれるClayPotがあり、老婆が手際よく内側にパンを貼り付けて焼いている。
その両サイドが食事スペースで、壁やテーブルの至るところがこれぞ中東、西アジアといったテキスタイルで覆われており雰囲気がある。
ピーク時間を外して訪問したのだが、それでも15分ほど店外で待つことになった。
やっとテーブルに案内してもらい着席すると、入店チェックの猫が窓の外からこちらを監視しているのに気づく。
まず注文したのはヨーグルトのスープ、Dovga。
暖かいヨーグルトスープで、様々なハーブとお米が入っている。
調味料は塩だけ、ヨーグルトの酸っぱさと塩の単調な味のため、日本人には好みが別れるかもしれない。
個人的には、コーヒーカップ1杯分位がちょうど良いかなと思う。
続いてはGurza、その単語のとおり水餃子だ。
これは自分の注文ミスで、Qutabを2つオーダーしたつもりだったが、Gurzaを二人前注文してしまったのだ。
間違えた単語の覚え方をしていたのだろう。
注文時に若いウェイトレスから一人前にしたほうがいいと何度も言われたが、二人前で問題ないと押し通した。
実際にサーブされた皿を見ると、親指サイズの水餃子が40個乗っており、大皿から溢れそうになっている。
ウェイトレスは親切心で、一人前20個でもかなりの量だけど大丈夫か、と言っていたのだ。
もっとちゃんと確認しておけばよかったと一瞬後悔したが、来たものはしょうがない、完食を目指すよう気分を切り替えた。
(この写真は皿の中が収まりの良い見栄えになった段階で撮影したもので、実は全体の3割が既に胃の中に収まっている)
自家製のもちもちした歯ごたえのある厚め皮に、マトンで作ったあんが包まれており、非常に美味しい。
赤いふりかけのようなものはSumacという。
植物の実を粉末に砕いたものだで、梅のふりかけ、ゆかりのような酸っぱさを感じる。
時間をかけ、Sumacを適宜追加し、何とか水餃子40個を完食した時には、もう猫はいなかった。
住所:Kiçik Qala 19, İçərişəhər, Baku, Azerbaijan
URL;https://ja-jp.facebook.com/SehrliTendir/