火の国 〜 アゼルバイジャンの光と影

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アゼルバイジャンはペルシャ語の「火」を語源とする国名のとおり、ゾロアスター教開祖の予言者ツァラトストラが生誕した場所。

ニーチェが、著書「ツァラトストラはかく語りき」でモデルにした人物だ。

ソ連崩壊を機に独立した後は、燃え続ける丘「ヤナルダグ」に象徴される天然ガス、ヒトラーが占領を試み、ロスチャイルドやノーベル兄弟など西欧資本で開発されたバクー油田など、豊富な天然資源で驚異的な発展を遂げた。

「火」をモチーフにデザインされたFlame Towersという最新型のビルは、石造りの旧市街とのコントラストが絶妙で、首都バクーを象徴する風景になっている。
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このように「火」を生む天然資源で2000年から10年間でGDPは10倍になったが、米国主導のシェールガス革命により原油価格は暴落、GDPは2014年からの2年で半減。

異例の2度にわたる通貨切り下げでマナトの価値は対ドルで2分の1に、国営の最大銀行 International Bank of Azerbaijan はデフォルトした。

また、政治の世界では現大統領イルハム・アリエフは前大統領ヘイダル・アリエフの世襲で、更に現大統領は憲法改正で自身の妻を副大統領に任命するなど、国家のファミリービジネス化に批判が高まっている。

そんな中で2016年にはF1を誘致、2025年を目処に世界最大の海洋都市の建設を進め、2020年のオリンピック、2025年の万博誘致にも立候補するアゼルバイジャン。

「火」は活力の象徴である一方、制御できないリスクの象徴でもある。

地政学的にはNagorno-Karabakhのように既に燻り続ける火種もある。

今後どのような希望の「火」がアゼルバイジャンに持たらされ、灯されるのか。

注視していきたい。

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