Princeとラスベガス

Elvis Presleyの「Viva Las Vegas」という曲がある。

全ての欲望を列挙し続けるヴォーカルラインをコンガやボンゴのリズムが盛り立てる、Las Vegasのパブリックイメージを象徴するような1964年のヒットソングだ。

今や統合型リゾート発祥の地として名を馳せるが、この曲に代表される古典的な享楽的イメージは21世紀の現代でも多くの人にとってあまり変わらないかもしれない。

2002年にPrinceが「The One Nite Alone… Tour」を終えた年の瀬、そのLas Vegasで行ったライブが「Live at the Aladdin Las Vegas」のタイトルでDVDとしてリリースされている。RenderedContent-EC955CDC-A08F-44BA-BF79-01BC4163E78CAladdinとは正式にはThe AXIS and Aladdin Theatre for the Performing Artsといい、通称Zappos Theaterの名で知られるStrip沿いのコンサートホールだ。

アルバム「Rainbow Children」から続くJazzyな雰囲気が印象的なライブで、Shiela E、Eric Leeds、Maceo Parker、Rhonda Smith、John Blackwellらがバッキングを務める贅沢なメンバー編成。

そのライブの序盤がいかにもPrinceらしく、ギャンブルや金に対する欲が人を幸せにするわけじゃないというように「Pop Life」と「Money Don’t Matter Tonight」、不労所得で過ごす人達への当て付けのようにハードワーカー賛歌「The Work」のメドレーをタイトな演奏でサラっと聴かせる。

ギャンブラーを装うElvisが歌う通りLas Vegasで「7」と言えばラッキーセブンだろうが、かつてSeventh Adventist Churchに入信していたPrinceにとって「7」はキリスト復活の数字であり、1995年の「7」という曲では七つの大罪、七大天使をテーマにしたこともあった。

こうしたPrinceの人生観や宗教観が前述3曲をLas Vegasのオープニングに反映させたのかもしれない。

その後PrinceはLarry Grahamの誘いでJehovah’s Witnessesに改宗し、音楽活動も共にしていく。

Larry繋がりか、次第にFamily StoneのメンバーもPrinceの音楽活動に関わるようになり、1999年5月にはLas Vegasの Strip沿いにあるMGM Grand Hotel & CasinoにあるStudio 54で、Cynthia Robinson、Jerry Martini、Larry Graham、Rose Stoneをフューチャーしたライブを敢行(Bootleg CDのタイトルは皮肉にも「Viva Las Vegas」と題されている)。RenderedContent-CA4D8F5E-BE2B-4A34-98F8-5B722CEE3639このライブが最高で「Sing A Simple Song」から始まり「Stand!」、「Family Affair」、「Thank U Falletinme Be Mice Elf Again 〜 U Can Make It If U Try」「Forever In My Life 〜Everyday People」のメドレー、「Music Lover」、「 I Want 2 Take U Higher」、Princeの曲で最もSly色が強いと言われる「The Ballad Of Dorothy Parker」など次々と演奏され、もはやPrince & Family Stoneといった様相だ。

特に「Sing A Simple Song」や「Thank U Falletinme Be Mice Elf Again」で、 まるでEric Leedsとするかの如くJerry Martiniと掛け合う様子、後半percussiveかつspace-ishに展開する「Family Affair」は鳥肌モノで、オリジナルリリースが待たれる傑作マテリアルとなっている。

ちなみにMGM Grandと通りを挟んだ向かいのTropicana Hotel & Casino Las Vegasでは、PrinceやApollonia 6のimpressionistsによる「Purple Reign: The Prince Tribute Show」が催されている。

Awardを勝ち取る程の出来がこの辺りでは評判で、Princeの生前からずっと続いているようだが、今に至ってはある意味貴重で価値あるものとなっているのかも知れない。

ハードワーカーPrinceの教えへのリスペクトか、週に6回ほぼ休みなく営業している模様だ。

Return Top