初めてサグラダ・ファミリアを訪れた。

素晴らしかった。

聖書の解釈の仕方、建造物のディテールへのこだわり、建造期間の長さが育むロマン、様々な魅力と見方がある。

私が感じたのはそうした概念的なものではなく体感的なものだ。

他の場所では体験できない、ここでしか味わえない光の浴び方、見え方、感じ方。

その瞬間しか存在しない、常に移ろう光と色の重なり。

自然界の要素をデザインやアーキテクチャに取り込むガウディの思想が、最高の形で結実した世界だった。

ところで、現在工事中のサグラダ・ファミリア。

本来2182年頃が完成目安とされてきた中、2026年に完成する旨のプレスリリースが2013年に発表された。

残り159年がまさかの13年、92%の工期短縮は建築プロセスをITで刷新し実現するという。

3Dソフトでのモデリング、3Dプリンタを活用した検証、石材加工プロセスのコンピュータ制御化などの技術が核になる。

このIT投資を可能にしているのは、世界中から訪れる観光客が支払う入場料である。

こうした顧客対応の運営管理を高度化させる観点から、その土台となるITインフラ部分にも積極的に新技術が導入されている。

具体的にはコンピュータ施設をモジュール化、ポータブル化、プラガブル化、いわばノマド化するというものだ。

これによりコンピュータ施設のセキュリティを強化しながら、建築場所とコンピュータ設備の設置場所が干渉しあわなくなり運営管理の柔軟性が向上する、コンピュータ性能の拡張をプラグアンドプレイに近い形で実現できるようになるなど、多くのメリットを享受できると思われる。

自然の普遍性と最新のITが共存しながら進化するサグラダ・ファミリア。

今回は夏の午前中に行ったのだが、別の時間帯や別の季節に何度でも訪れてみたい。