シンガポールのインディシーンで90年代から活動しているSeam Lamのソロユニット、Hanging Up The Moon。
これまで数枚のアルバムをリリースしており、私が知ったのは「The Biggest Lie In The World」というアルバムだった。
年間通して30度を超える気候、「明るい北朝鮮」と揶揄されることもある規律社会、そんな外部環境とは無縁のクールでプライベート感のあるフォーキーミュージック。
北欧SwedenのJosé Gonzálezを想起させる質感もあり、初めて聴いた時は新鮮に響いた。
2016年にリリースされた本作では、自分以外のギタリストを2人、ベーシスト、ドラマーを迎い入れ、部分的にバイオリンやチェロも加え、音像も少し変化している。
これまでセルフプロデュースだった点も、友人との共同名義にシフト。
ソロプロジェクトで始まったHanging Up The Moonだが、徐々に外部の血を必要としてきたのかのしれない。
結果として、前作同様の繊細さが印象的な「Ebb and Flow」のような曲だけでなく、アンプを通したギターやベースにより楽曲の質感も豊かになった。
東京でも愛聴していたが、シンガポールでもクーラーの効いたのホテルの部屋、朝のジョギングで訪れた公園などあちこちで聴いていた。
場所を選ばず、風通しの良さを感じさせる素敵な音楽だ。