世界的なアナログレコードブームは台湾にも到来している雰囲気だ。
世界最長の地下書店街、 誠品R79 Eslite Undergroundのmusic storeを覗いてみると日本や欧米の中古、リイシュー、新作がストックされているし、三創黑膠は品揃えがとにかく豊富。
全般的に感じたのは自国カルチャーを再発見するような、所謂日本にとっての和モノ的な視点がやや少なく、インポート系が多い点か。
もしかしたら自国のレコードは生産量が少なく、すでに再発見され尽くしているのかもしれない。
そんなことも考えながらWaiting Roomの店員さんと会話すると、中古アナログなら小宋唱片という店が取り揃えが多いと教えてもらう。
中山あたりの中心街から少し離れており、また電車の駅からはかなり遠そうなので、バスを幾つか乗り継いで向かうことにした。
地図を見ると近所に華江高校という大きい学校があるようなので、それを目安にGoogle Mapで経路を検索する。
この旅で感じたのは、台北でコストと時間をバランスよくセーブして移動するにはバスを有効活用するのがよいということ。
路線が複雑で理解しづらいところもあるが、本数も多いので使いこなせればかなり便利だと思う。
バス停を降りてしばらく歩くと静かな小さい通り沿いにあるお店に到着、靴を脱いでスリッパを履いて入店する。
大量のクラシックや欧米、日本の中古アナログがあって見応え十分。
欧米のロックコーナーには、床に座り込んでレコードを掘っている若いカップルがいたが、私は店員さんと少し話そうと店の奥まで進む。
本格的なオーディオ機器で試聴ができるようになっていて、年配の男性と女性2人がいた。
英語で話しかけると店員さんだとわかり、日本から来たと話してみると、日本語で優しく応対してくれた。
この世代の方々には、日本に親しみを持ってくれている人が多い。
いろいろ話し込むと本格的なコーヒーを振舞ってくれた。
台湾の70年代、80年代のディスコを探していると伝えると、そういう日本人が数多く訪れて買って行くので、もうストックは少ないという。
少し残念に思いながら、ストックの少ない台湾ポップスコーナーをチェックしてみると、何種類かのシールド盤を発見。
シールド盤にしては良心的なプライシングだったので何枚か買ったのだが、これがなかなか面白い。
慕潔溪(Jessie) / 你將是我掩埋的謎題 (1988 Kolin)日本のアイドル歌手が、ニューミュージックの作家達から楽曲提供を受け、意外にクオリティの高いアルバムを出すケースがあるが、これもそんな雰囲気のある作品。
我心愛的面孔という曲のイントロ数秒は、Jill JonesがカバーしたPrinceのWith Youのようだし、数曲は日本のアイドル歌手 WinkのようにItalo Disco調で面白い。
年配の女性店員によれば台湾の若い女性歌手は若いいうちに結婚して家庭に入るらしく、そうした芸能ネタを数々交え解説してもらえ、楽しい時間を過ごすことができた。ちなみに、Jessieさんはアナウンサーと結婚したと言っていた気がする。