Pinto Livros & Musica 〜 マカオのcultural landmark

RenderedContent-A6A9A1D0-D57A-492A-B6F2-82A2E43ED2BBPin-toは広東語、LivrosとMusicaはポルトガル語、日本語に訳せば「本と音楽のある場所」という感じの意味だろうか。

本と音楽のセレクトショップ、Pinto Livros & Musica。

マカオではあちこち散策したが、唯一アートを感じられる貴重な空間だった。

かつてSenado広場にあった店舗は、2017年夏に現在の場所に移転。

Senado広場は世界遺産に指定された観光名所で、私が滞在した時期はちょうどマカオ返還の記念日からクリスマスにかけた時期で人で溢れかえっていた。

夜には教会のfacadeやあちこちの建物にprojection mappingが施され、その横に照明眩しいファストフード店、ドラッグストア、土産物店が延々と続く様は、とても歴史を感じる気分ではなかったな。

現在のロケーションはローカルの人たちの生活を感じられる場所で、近辺に歴史的建造物が点在しつつも総じて落ち着いた雰囲気だ。

Pinto Livros & Musicaの店内はそれほど広いわけではないが、本と音楽のセレクトは興味深いものだった。

私が日本人だからか、日本のアート、文学、音楽の取り扱いに目がいく。

こちらは坂口安吾の堕落論の中国語版。RenderedContent-AAF19A09-0AE8-4E32-B59D-C802B4582B01言論統制に力を注ぐ中国で、安吾のような作家の作品が翻訳されるというのは画期的に感じる。

日本を代表する思想家の柄谷行人が、中国の出版社が安吾本を刊行する際に寄稿の打診があったというエピソードをうっすらと思い出したが、この本だろうか。

そういえば安吾には隠れキリシタンの歴史を追った「イノチガケ」という作品があるが、マカオに来る前にMartin Scorsese監督の「Silence」をAmazon Prime Videoで観た。

遠藤周作が隠れキリシタンを描いた「沈黙」を映画化したもので、ポルトガル宣教師と長崎から流れ着いた隠れキリシタンがマカオで出会い、一緒に長崎へ向かうところから物語は始まる。

その隠れキリシタンはキチジローという名で窪塚陽介が演じるのだが、キチジローは人間の弱さ、矛盾、葛藤など象徴する道化的存在でインパクトを放っていた。

私は安吾の「FARCEに就て」を思い出しながらキチジローを観ていたので、まさかキチジローが流れ着いたマカオで安吾の書籍を手に取ることになるとは。点と点が繋がった瞬間だった。

棚を丁寧に辿っていくと、大竹伸朗や隈研吾をはじめ日本人の作品が多数セレクトされている。RenderedContent-04AB2A0D-79AF-44B5-A53B-94F33415C112音楽コーナーには坂本龍一のポスターやHosono Houseのアナログも。RenderedContent-5B7D5AFB-8A75-444B-87D6-F05DA605DA68マカオのローカルアーティストの作品もあったが、日本でチェックしてあまり響かなかった印象があり、Uchinoriaというcompilationを購入した。RenderedContent-0EF89870-784D-4038-A8FF-32CF07E0DA0Cexperimental、noise、ambient系の3枚組のCDで、Hong King、Azerbaijan、Turkey、Kazakhstan、Georgia、Syria、Thailand、Sri Lanka、Uzbekistan、Iran、Armenia、Korea、Taiwan、India etc..中東から東アジアまで様々な国の音楽家の作品がコンパイルされている。

非欧米の作家達が非西洋七音音階的サウンドを聴かせるようなコンセプトだろうか、フィールドレコーディングした素材をDTMで仕上げたようなものが多い。

Pinto Livros & Musica (边度有書有音樂)
住所:47 R. de Coelho do Amaral, Macau (連勝街47號)
URL:https://www.facebook.com/pintolivros/?rf=161236283931528
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