Pinto Livros & Musicaから連勝街を西に向かい、花王堂斜巷の坂を降って果欄街を南に進む。地図で見ると一見遠そうだが、歩いても大して時間はかからない。
土曜の昼下がりは思ったよりも静か。レトロな雰囲気の小道だが、ところどころモダンな店構えの店もちらほら。
その通りですれ違う人の多くが手にしていた白い小さなカップ。
歩きながら食べていたのが洪馨椰子のココナッツアイスだった。
ポルトガルがマカオに持ち込んだエポックメイキングな食材の一つが、マラッカのココナッツ。
硬い殻は天然の密閉器の役割を果たし、灼熱の熱帯で殻に守られた中身は衛生的な飲料や食料として貴重だったに違いない。
中身だけでなく外皮は天然繊維、殻は燃料や工芸品といったように捨てるところがなく、完璧な利用価値を供する果実だ。
この店では、その日の朝に作ったフレッシュなココナッツミルクに何も加えずアイスを作っているという。
軒先きにある大きな冷凍ショーケースを覗き込むと、あと20個程度しか残っていない状態。
その日に作ったものを、その日に売り切るようなスタイルなのだろう。
おやつの時間前には売り切れてしまいそうだ。
店の奥から出て来た男性店員に英語で話すと、流暢な日本語で返事をしてくれた。見た目で日本人だとわかったのだろうか。
一個25MOPで購入しカップを開けると、アイスというよりソフトクリームが収められている感じで、スムースにスプーンが入っていくちょうど良い柔らかさ。冷凍ショーケースでアイスを保存する場合マイナス20度位でカチカチになるそうだが、ソフトクリームの柔かさをキープするために温度調節を工夫しているのかもしれない。
口に運ぶと、想像以上の滑らかさ、濃厚さ、仄かな甘さが口の中を巡った。
これがココナッツだけでできているかと思う程の衝撃で、ココナッツのイメージが大きく変わった。
マカオに行ったら是非食べたい一品だ。
住所:14 R. da Tercena, Macau (果欄街14號)