馬告というスパイスをご存知だろうか。
台北中心街から約20km南下した烏来近辺で採取されているaboriginal spiceで、台湾でもマイナーだという。
学名はLitsea cubebaとされているが、現地原住民の発音の当て字で馬告と記されるらしい。
日本語名は存在しない。
Lemongrassとpepperをあわせたような風味との解説が興味深く、あちこち調べてみたのだが、どこで売っているのか全くわからない。
東京で生活していると世界中の大抵のものは手に入ることに慣れてしまって、台北中心地から20kmしか離れていない場所のものを知る術がないというのは中々腹に落ちず、台北であちこち聞いて廻ることにした。
まず向かったのは土生土長というオーガニック食材のセレクトショップ。
以前にこの店がananで馬告を紹介している記事を確認できたので、きっと何かを知っているだろうし、取り扱っているかもしれない。
相対してくれた女性店員とはgoogle翻訳で日本語と中国語で会話をしたが、今は取り扱いがなく、収穫も不定期で、販売も原住民の農民が道端で手売りするスタイルが大半、烏来に行ったとしても買えるかどうか保証はできない、台北で売っている場所もないのではないかということだった。
キーワードを変え何度もググって確認してくれたのだが脈は無さそう。
本当に珍しいのだと改めて認識して、礼を言い店を出た。
難航しそうな雰囲気を感じつつ次に目指したのは新光三越のデパ地下、Jasons、天和鮮物など珍しいものを置いてありそうな高級スーパー。これらの店でも店員さんに聞いてみたが、殆どが馬告自体を知らない状況で、土生土長の情報の5%も調達できない程だった。
相当マイナーだということは身に染みて理解したが、まだ諦める訳にはと気持ちを切り替え、台北随一の問屋街で乾物、高級食材、漢方薬で「無いものは無い」といわれる迪化街に希望を託し歩いて向かう。日本語で呼び込みをしている店もあるので片っ端から会話を交わし、もし扱いがないならありそうな店を紹介して欲しいと話し、自分のメモ帳に店名や地図を手書きで描いてもらう。
どの店員さんも親切に対応してくれ15店舗程廻ったが、扱っている店は残念ながら無かった。
一方、この日は日曜で定休の店も幾つかあり、そのうちの一店は、複数の店から最も可能性があると評価されていたので、もしかしたらその店が開いていれば本当は見つかったかもしれない。次はその店に改めて訪問してみるか、烏来に直接行ってみるか。
一番良いのは烏来のTayal族に人脈のある人とコネクションを持つことだろうが、しばらくは自力で巡り会うプロセスや時間を楽しむことにしようか。