日本有数のvortexと言われる御岩神社の御神体は、標高492mの御岩山。
日本最古5億年前のカンブリア紀の地層が確認されており、その成分に含まれる雲母は光を反射する性質がある。
宇宙飛行士の向井千秋氏が宇宙から日本を見ると光の柱が立っており、帰還後に確認するとこの場所だったそうだ。
雲母の性質によるものか、vortexの核となるspiritualな何かがそうさせているのか。
そういう話題性も手伝い訪問者が増えているそうで、私が足を運んだ際は占い師の方が主催する開運ツアーの御一行や中国人の観光ツアーと一緒になったり、rock climbingやtrekkingにも適していることからそうした装備をした人達と山中で出会ったりした。
最寄駅となる日立駅からの公共バスは日に数本しかなく、車やツアーバスで訪れる人が殆どのようだ。
私達は公共バスに時間が合わずタクシーで移動したが、所用時間は20分程度、料金は4000円弱だった。
日本はこれまでの何度かの歴史的クーデターを経験しており、古代においては大化の改新、近代においては明治維新がそれにあたるが、御岩神社もその流れの中で顔を出す。前者では、中央集権国家を確立していく上で地方各地で風土記が編纂され、この地でも常陸國風土記が纏められたが、御岩神社は当時から霊山として記録されているのだ。
また後者により、神仏習合が禁止され御岩神社もその影響を受けたが、現代に至っては明治以前の習合形態を取り戻し、実に188の神仏が祀られているとのこと。
水戸藩初代徳川頼房公が出羽三山を勧請したことに始まって全国各所の神社仏閣とコラボレーションが進み、水戸藩の国峰および祈願所にもなっていった。
こうした徳川家との深い関係からか、明治維新の際に日光東照宮が神仏習合禁止を免除されたように、この神社も神仏分離令を解かれたのかもしれない。
ただ、実際に訪問し奥深い山道(参道)を歩いて行くと、全国各地から集う神仏の多様性よりも、この山自体の自然の豊かさと神聖さの方が強烈に印象に残るだろう。
個人的には山頂手前の奥宮「かびれ神宮」の霊性に特別なものを感じた。それまでの山道を登ってきた疲労もあり、この場所でしばらく佇んでいたのだが、何とも言えない清々しい時間だった。実際に行って体感するのが一番だ。
そこから更に山頂を目指して厳しい山道を進んでいく。登山が趣味の人なら並レベルのコースだろうが、普段運動不足の自分にとっては非常に堪えるものだった。
その分、山頂の到着した時の達成感は一入。
岩肌が剥き出しになった山頂は立速日男命が降り立った神域とされ、そこに腰を下ろして眺める景色、耳にする風の音、日々の生活の煩わしさがすっと消えていく感覚は爽快そのもの。
里宮付近も三本杉をはじめvortex感満載だが、ここまで来るなら奥宮と山頂を目指したいところだ。今回は行きは表参道、下山は裏山道のルートを選んだが、逆パターンをチョイスする人もいるらしい。