シンガポールのフリーソウル 〜 Anita Sarawak / Dancing In The City (EMI Singapore 1978)

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Anita Sarawakはシンガポール出身で、子役からキャリアをスタートした後、シンガーや司会で活躍するなど幾つもの顔を持つ。

1978年にリリースされたこのアルバムはシンガーとして大きく羽ばたこうという時期の作品で、おそらく欧米進出を意識しており、翌1979年には長期間にわたりアメリカ各地を巡業した。

また、この時期には離婚も経験するなど、公私ともに大きな節目に差し掛かっていた。

タイトルトラックはMarshall Hainのカバーで、こうした時期を駆け抜ける自分を奮い立たせているように聴こえる。

その他Dianna ross、Real Thing、Vicki Sue Robinson、Captain & Tennille、、Aretha Franklin、Barry Manilow、Stevie Wonderなどこの時代の欧米ヒットチャートを彩った旬な楽曲のカバーを数多く収録。

全体通してFreesoul感に溢れた名作で、Real Thingのカバー「You To Me Are Everything」、Michael JacksonのオリジナルをMelissa Manchesterがアレンジしたバージョンの「I Wanna Be Where You Are」などレコードでいうA面の流れが特に素晴らしい。

Anita Sarawakが生まれた戦後は日本からイギリスへの統治移行、マレーシア連邦への参加、そこからの独立と複雑な歴史を歩んだシンガポール。

そんな歴史の文脈に呼応するように、このアルバムはマレーシアや当時英国領だった香港でもリリースされた。

このアルバム以外でも、Thelma Houstonの「Don’t Leave Me This Way」、Natalie Cole「Mr Melody」などFreesoul感たっぷりのカバーを多々手掛けており、それらも一聴に値する。

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