21世紀の現在、地球上の多くの国は太陽暦を採用している。
一方、チベットでは独自の暦があり、インド仏教・後期密教の最後の教典「カーラチャクラ・タントラ」に影響を受けた太陽太陰暦を西暦1027年から採用している。
そのチベット暦によれば、2017年は2月27日が正月(Losar)。
曙橋駅から冷たい強い風が吹く靖国通りを歩き、チベット料理レストラン「タシデレ(Tashi Delek)」に向かうと、正月を祝う特別メニューがあったので頂くことにした。
まず1皿目は、モモ(蒸し餃子)、ギュマ(手作りラムの腸詰)、スッラブ(大根の酢っぱい漬物)。
スッラブは日本のナマスのようだが、尖った酸っぱさはなく、微かにニンニクやハーブの風味もあるように感じた。
モモはこの店でも人気のあるメニューのようで皮も中身も非常に美味しい。
また、モモ用のチリソースがまた絶品。
コクのあるトマトで作ったサルサソースのようで様々な用途に使えそうだ。
そしてギュマは羊の旨味が凝縮されていて最高。
これだけを追加オーダーしてビールを飲みたい気分になる。
次はドトゥク(ひき肉と全粒小麦のお粥)。
鶏の細切れから出汁の出た優しい味。
独特のトロっとした舌触りも印象的。
最後はデザートのカプセ(揚げ菓子)とデシ(甘いお祝いご飯)とバター茶。
2015年にDave Asprey氏が「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」で紹介したバターコーヒーは、チベットのバター茶からヒントを得て発明されたものだ。
想像以上にさっぱりしていて少しだけ塩の風味がするが嫌な感じはなく、最後まで美味しく飲めた。
チベットがチベットでなくなってから65年以上が経過したが、こうした食文化に触れると、チベットはチベットであることを改めて感じることができる。