富ヶ谷交差点の側のセブンイレブンと富ヶ谷小学校の間の坂を登って暫し歩くと、完全な住宅街の中に現れる季織亭。
かつて経堂のすずらん通りで名を馳せ惜しまれながら閉店したが、クラウドファンディングで復活したそうだ。
すずらん通りの店は何度か足を運んだことがあるが、こってり系や若い人向けのラーメン店が多い界隈で、こだわりの無化調和風ラーメンは独創性を放っていた。
一般の住宅をリノベートした店内に靴を脱いで上がると、目の前に大きめのテーブルが一つ、奥に小さめのテーブルが2つ、右奥の厨房はオープンキッチン的な風情で調理している様子を見ることができる。カウンターもあり日本酒を飲んでいる人も。
注文するのは「手打小麦そば懐石」、ラーメンのコース料理だ。
瓶ビールを飲みながら待っていると前菜の盛り合わせが到着。10種類程の料理が盛り付けられる中で印象的だったのは、柿に生ハムをトッピングしたものと、白とピンクの模様が綺麗な大根の上にシャドークイーンだろうか、紫色のポテトのムースを盛り付けたものの二つ。
日本酒を飲みながらつまむのがよく合いそうな一品だ。
その次は「小麦そば つけ」。茄子とネギと岩塩が載った皿と、麺、汁が別々に供される。
まず麺と岩塩だけで口に運んだ後、その後、麺と汁と具材をあわせていただく。
シンプルな組み合わせが、麺の甘みと存在感を引き立たせている。
続いて「黒米卵ごはん」。見た目から何となく、米は固めで、卵の味付けは濃厚そうな印象だったのだが、実際に食べてみると温かく柔らかい舌触りの黒米と薄味の半熟卵で、さっぱりと食べられる。
付け合わせの漬物と一緒にいただいてちょうどよい塩梅だろう。
その次は「変わり小麦そば」。彩が綺麗な汁なし担々麺で、ゴマだれは旨味が強く細麺とよく絡む。
辣油の辛さは程々でスパイスの配合から複雑な深みを感じさせる。
最後は「温かい小麦そば」。王道の醤油ラーメンで、ホロホロになった焼豚も大変美味しい。
麺が3種類、ご飯も出るのでお腹が膨れるかと思ったが、どれも小さめのポーションなので案外腹八分目で収まった。
デザートも完食。
ところで、カウンターで日本酒を飲んでいた常連さんのあては焼豚だっただろうか、そういう飲み方も良さそうだ。
〆のラーメンも単品で何種類かあるようなので、また再訪したい。