20数年前にここではじめて香港麺を食べた時の異国感はよく覚えている。

香港旅行に行ったことがなかったし、食べたことのあるラーメンといえば早稲田のメルシーや下北沢の一龍くらいで、全く経験のない食感と味が衝撃だった。

まず、スープ。

色の淡白さも衝撃だったが、あっさりしながらも深い旨味はそれまでのラーメンでは経験したことがないものだった。

また、幼麺の独特なコシ。

よく噛んで食べるというより喉越しを楽しむ感じが面白いし、なんとも言えない硬さは茹で加減を間違えているのではと思った程だ。

香港にも旅行で度々訪れるようになると、この店が現地スタイルを導入していることが理解でき、それを東京の真ん中で味わえるのは嬉しいものと思えるようになった。

三軒茶屋で飲んだ帰りは、ちょっと散歩をして、三宿のこの店まで来てしまう。

注文するのはエビ入りワンタン麺、日本式の麺もあるようだが、もちろん香港麺で。相変わらずの美味しさ、噛んだ瞬間にごま油が香るプリプリのエビ入りワンタンの味付けも最高だ。

〆のラーメンは殆どしなくなったが、ここは別。

淡白ながら旨味と深みのあるスープは飲んだ後に優しく胃に流れる。

以前ここは日本一号店だったが、香港の店を畳んだようで、今はこの店が本店になっている。

カレーや醤油焼きそばもうまい。

また来よう。