マカオのあちこちを巡回しているフリーのシャトルバスに乗りThe Countdownで下車、Cotai Stripを散歩する。
マカオのカジノの収益規模はすでにラスベガスやシンガポールを超え世界一だ。
マカオがラスベガスと違うのは、外資を導入し市場の活性化を図り、滞在型リゾートとして安心安全とエンタメを両立しただけでなく、中華圏の富裕層のニーズへの対応、中国本土からマカオを訪問する中国人ビザ発給要件の緩和等、中華圏の地の利を活かした戦略の巧みさが挙げられる。
利用者の実に90%以上は中国、香港、台湾からの人々だという。
今後アジアが世界経済の中心として発展すればするほど、マカオの経済規模も拡大していくのだろう。
一方で、マカオにはGDPの8割を占めるカジノと観光産業以外に収益の軸がなく、ローカルの人達は脆弱かつ歪な産業構造の上で暮らしている。そういった状況をどう感じているのだろうか。
調べてみるとマカオでは政府は国民に現金を支給し、医療費や教育費や光熱費も何とフリー。
もはやサウジアラビアやブルネイと同類の相当レアな経済感覚が育まれていそうだが、彼の国々は独裁国家なので事情が違う。
福祉支援が充実していることは良いことだが、だからと行って現地の人たちがハッピーそうかというと決してそうは感じなかった。
冴えない雰囲気の人や場所は少なくなかったから。
また、経済発展のレベルに比して文化芸術の雰囲気を感じられる場所が少なく、世界遺産などのハードは多数あるのだが、アート、本、音楽といったソフト面で引っかかるものが殆ど何も無いのは意外だった。
ポルトガルや香港の影響はあるのかなと思っていたが、実際はそうでもなかった。
たまたまVenetian MacaoではKeith Haring展をやっていたが、Venetianは観光客向けのIRで、現地の人達向けではない。また、The Galaxyのカジノのエントランス前にはLouis Vuittonの派手なディスプレイ、ハイブランドが軒を並べるエリアには7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwaraなど目を引くものがあるのだが、所詮相手は観光客だ。
最近中国ともめているDolce & GabbanaやAppleも、特に客入りが悪い状況ではなく普通に営業している。ここが特別行政地区だからというよりも、観光客しか相手にしていないからだろう。
ポルトガルの残したレガシーは世界遺産と言っても何日もかけて巡る規模でもないし、カジノに行かない人にとってリピート率は正直かなり低いのではないだろうか。
年間3000万人が訪れる観光大国にしては英語を話す人はホテルや高級レストランの従業員ばかりで街中には殆どいなかったし、開かれているようで実はそれほどでもないか、そんな印象を受けたマカオだった。
最後に、ソフト面で引っかかるものがないと言ったけど・・・
ポルトガルまで行かなくても本格的なポルトガル料理が食べれることが最も価値あるソフトパワーかもしれないなと。